2008年から特定健診、特定保健指導でメタボリックシンドロームについては馴染みのある症候群になってきました。
「メタボ」は肥満の代名詞のようになり、独り歩きしている状態で、ちょっと太ったおじさんも自虐的に使ったり、貫禄が出てきて満更でもないように思ったり、まだまだ、この症候群も軽く認識して、本当の正体を知らない人が多いように思います。
この図は慶応大学医学部内科教授の伊藤裕先生が作成した有名なメタボリックドミノです。御存じのようにドミノは上流のドミノが倒れ出したら一気に連鎖的に下流のドミノも倒れだし、止めようがなくなるというものです。
これが、「メタボ」の正体だ!と地獄絵図を見せられたようなショッキングな図であり、誤解されていた「メタボ」にしてみれば、わが意を得たりと納得させられる簡潔明瞭な図であります。おそらく医学界にも年間コピー大賞があれば、間違いなく大賞でしょう。
日本人のメタボリックシンドロームの人口は40歳以上の男性で2人に1人、女性で5人に1人の割でいるといわれております。この人たちがそのまま阻止せずにいると数年から十数年後には透析、失明、脳卒中、認知症、心不全になるのかと思うと怖い話です。
現在の日本では、高血圧患者3100万人、高脂血症患者3000万人、糖尿病1080万人います。透析患者は毎年10000人ずつ増加しています。これからもどんどん増えることが予想されます。
初めは生活習慣病の乱れから始まり、肥満が徐々に進行します。飽食の時代です、自らを律しないと中年になったら、一挙に進行します。次に、インスリン抵抗性が出現、つまり、インスリンがすい臓から分泌してもブドウ糖の細胞取り込みに異常が出てくる。
さらに進行すると、高インスリン血症となり、食後高血糖となる。と同時に高血圧、脂質異常が出現。このあたりでメタボリックシンドロームの診断基準に引っかかるレベルになるわけですが、すでにドミノは中流に来ておりかなり、動脈硬化も進行、脳心血管系や腎臓系のリスクも増加してくる状態です。
しかも、一つの病気だけではなく、糖尿病と高血圧と脂質異常が一人の人に時間差で次々発症し、動脈硬化も同時に進行し、最後のドミノが倒れるまで、容赦なく進行するのです。
また、下流で食い止めるのは至難の業です。no returnです。上流で阻止するしかないのです。生活習慣から地道に変えていくしかないのです。肥満を食事と運動で解消していくしかないのです。勿論、下流にすでに進行している人は、薬も使っていかなければいけません。でも、基本は上流の生活習慣の改善です。
アンチエイジング医学は、究極の予防医学ですから、メタボドミノに関して言えば、上流で未病の状態で介入するということが役割となります。
しかし、メタボドミノは、なんと、わかりやすい図なんでしょう。でも、なんて、恐ろしい地獄絵図なんでしょう。
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