2010年2月27日土曜日

メタボリックドミノを食い止めろ!

2008年から特定健診、特定保健指導でメタボリックシンドロームについては馴染みのある症候群になってきました。

「メタボ」は肥満の代名詞のようになり、独り歩きしている状態で、ちょっと太ったおじさんも自虐的に使ったり、貫禄が出てきて満更でもないように思ったり、まだまだ、この症候群も軽く認識して、本当の正体を知らない人が多いように思います。



この図は慶応大学医学部内科教授の伊藤裕先生が作成した有名なメタボリックドミノです。御存じのようにドミノは上流のドミノが倒れ出したら一気に連鎖的に下流のドミノも倒れだし、止めようがなくなるというものです。

これが、「メタボ」の正体だ!と地獄絵図を見せられたようなショッキングな図であり、誤解されていた「メタボ」にしてみれば、わが意を得たりと納得させられる簡潔明瞭な図であります。おそらく医学界にも年間コピー大賞があれば、間違いなく大賞でしょう。

日本人のメタボリックシンドロームの人口は40歳以上の男性で2人に1人、女性で5人に1人の割でいるといわれております。この人たちがそのまま阻止せずにいると数年から十数年後には透析、失明、脳卒中、認知症、心不全になるのかと思うと怖い話です。

現在の日本では、高血圧患者3100万人、高脂血症患者3000万人、糖尿病1080万人います。透析患者は毎年10000人ずつ増加しています。これからもどんどん増えることが予想されます。

初めは生活習慣病の乱れから始まり、肥満が徐々に進行します。飽食の時代です、自らを律しないと中年になったら、一挙に進行します。次に、インスリン抵抗性が出現、つまり、インスリンがすい臓から分泌してもブドウ糖の細胞取り込みに異常が出てくる。

さらに進行すると、高インスリン血症となり、食後高血糖となる。と同時に高血圧、脂質異常が出現。このあたりでメタボリックシンドロームの診断基準に引っかかるレベルになるわけですが、すでにドミノは中流に来ておりかなり、動脈硬化も進行、脳心血管系や腎臓系のリスクも増加してくる状態です。

しかも、一つの病気だけではなく、糖尿病と高血圧と脂質異常が一人の人に時間差で次々発症し、動脈硬化も同時に進行し、最後のドミノが倒れるまで、容赦なく進行するのです。

また、下流で食い止めるのは至難の業です。no returnです。上流で阻止するしかないのです。生活習慣から地道に変えていくしかないのです。肥満を食事と運動で解消していくしかないのです。勿論、下流にすでに進行している人は、薬も使っていかなければいけません。でも、基本は上流の生活習慣の改善です。

アンチエイジング医学は、究極の予防医学ですから、メタボドミノに関して言えば、上流で未病の状態で介入するということが役割となります。

しかし、メタボドミノは、なんと、わかりやすい図なんでしょう。でも、なんて、恐ろしい地獄絵図なんでしょう。

2010年2月24日水曜日

良質の睡眠を摂ってますか?メラトニンに抗加齢効果

人生の3分の1が睡眠です。熟睡したあとのすっきり感はなんとも形容しがたい幸福感があります。ごきげんになりますよね。

一方、寝不足、浅い眠りは、疲れが残り、不機嫌になります。男女とも1日6~7時間睡眠が最も長生きするというデータがあります。7時間を超えても、短くても寿命が短くなるということです。不思議ですね。

さて、歳をとると、眠りが浅くなります。眠りの深さには4ステージありますが、高齢になるにつれて、ノンレム睡眠という深い睡眠は減少してきます。

このノンレム睡眠時には、老化を抑える成長ホルモンが分泌されます。最も多く分泌される時間帯が深夜2時前後だということですから、この時間帯にノンレム睡眠に入っていればベストということになります。

睡眠に関するホルモンで有名なのがメラトニンです。松果体から分泌される時刻情報の伝達物質ですが、他にも、活性酸素を除去してくれる機能や神経細胞を保護してくれる機能や骨吸収を抑制して骨粗しょう症を予防する機能もあることがわかってきました。

本来、メラトニンは必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンからセロトニンを経て合成されるアミンという物質です。血中メラトニン濃度は光情報によって昼間に低く、夜間に高くなり、日周変動をします。しかし、加齢とともに減少します。70歳になると、ピーク時の10分の1になるそうです。

ですから、眠りが浅い、途中覚醒する、寝入りが悪いという症状を持つ中高年の方は、メラトニンの内服がお勧めです。しかも、抗加齢効果もありますから、願ってもないことです。

現在、日本ではメラトニンは医薬品として許可されておりません。ですから、海外から個人輸入するしかありません。

私も毎日寝る1時間前に内服しますが、良質の睡眠ができております。副作用も本来、体内で合成される物質ですから、補助的な分量であれば、問題ないと考えます。いずれにしても医師に相談の上に服用されることをお勧めします。

2010年2月22日月曜日

ビタミンDはエビデンスのあるサプリと注目

先日、日本抗加齢医学会雑誌の新刊が届きました。そこに興味深い記事がありました。慶応義塾大学の眼科教授で編集長の坪田一男先生のページです。

タイトルが「ビタミンDをもっと摂ろう!」でした。ビタミンDが米国のアンチエイジング医学の中で最もサイエンティフィックなエビデンスのあるサプリメントとして取り上げられているということです。

ビタミンDは骨粗しょう症ばかりではなく、うつ病、癌、自己免疫疾患、感染症、サルコペニアなど様々な病気に対してプラスに働くされていることが証明されたようです。

インフルエンザが冬に流行するのは、「冬は日光に当たる時間が少ないのでビタミンDの濃度が減少するからだ」という仮説があるようです。なるほど、そうかもしれないなと一人納得しております。

私が住んでいる青森県は冬の日照時間が短いので有名で、冬になると、朝から曇り空が続き、午後4時頃になると空は夕暮れとなり、5時には真っ暗になります。雪がシンシンと降り続けると、外出する回数も減り、気分も落ち込み、うつ状態になることが自分自身、よく体験することであります。

ですから、できるだけ昼、天気になったらウォーキングを30分するように心がけるようしております。確かにそのように日光に当たると気分はよくなります。

でも、坪井教授は、まだ、血中ビタミンDの最適値には達しないといいます。サプリメントで5000IUのビタミンDを1カ月摂取し、メンテナンスで2000IUが必要とのことでした。私も早速、摂るようにします。

2010年2月19日金曜日

ストレスは万病の元、コルチゾール値でチェックを

現代社会は、洪水のような情報の中で生活を強いられ、また深刻な不況下で、グローバル化による国際競争、少子高齢化など多くの難問に直面しています。

だから、現代人は不安やストレスを強く感じています。このストレスが原因で色々な病気になります。

また、ストレス解消のために、暴飲暴食をする、タバコを吸う、夜遊びをするなど、悪い生活習慣から生活が乱れて二次的に病気になるということもあります。

過度のストレスの身体に及ぼす機序は、複雑な相関があります。まず、大脳で感知したストレス情報は前頭前野と海馬を介して視床下部に伝わります。そこから、自律神経を介して各種臓器に伝わります。

心配事をすると、胃がキリキリするとか、便秘や下痢をするとかはその典型例といえましょう。

さらに免疫機能が低下して、風邪を引きやすくなったり、アレルギー疾患が悪化したりします。

この免疫系が産生するサイトカインが脳に作用して発熱、抑うつ状態などを引き起こします。

一方、視床下部の情報は下垂体を介して内分泌系の反応を引き起こします。副腎皮質からのコルチゾールを過剰に分泌したり性腺機能障害を起こしたりします。

また、過剰なコルチゾルは免疫機能を抑制したり、海馬を委縮させ、うつ病、認知症を引き起こします。

(アンチエイジング医学の基礎と臨床、田平武著引用)

このようにストレスを過剰に長期に晒されていると、免疫系も脳も生殖器も消化器などズタズタにされるわけです。

自分にはまったくストレスがないという人でも、自分では気づいていないだけで実は多くのストレスを抱えていることが多いです。

血中コルチゾールを測定すると自分のストレス度がわかります。もし、数値が10μg/dl以上あればストレスの危険レベルなので、積極的にストレス解消のための療法を実行したほうがいいでしょう。

何を隠そう、実は私はコルチゾール値19μg/dlありますから、私こそ超危険ゾーン。自律神経強化訓練、瞑想などやり始めてはいるのですが、果たして次回の結果は如何に?

2010年2月17日水曜日

アンチエイジングドックにミニドックコース新設しました

アンチエイジングドック、これは病的老化を早期発見、早期治療するための検査ですが、当院(福島耳鼻咽喉科、弘前 http://www.fukushimaent.com/)では以前から、お手軽なAコースから詳細なCコースまで設定しておりました。

しかし、さらに日常の診療に来られる患者さんにも、自分の老化に関心を持ってもらい、病気の予防をしてもらう意識を持ってもらいたいと思い、簡便な、入門編ともいうべきミニドックコースを開設することにしました。

これの内容は骨年齢(骨密度測定)、血管年齢(血管加速度脈波測定)、神経年齢(ウィスコンシンソーティングカードによる前頭葉検査)、筋年齢(体組成計)、ホルモン年齢(問診56項目による診断、既存の健康診断のデータ)を調べるものです。

予約要ですが、時間があればその日でも検査は可能です。

所要時間は30分で、料金は検査と医師のよる検査結果説明とアドバイス込で8400円(税込)。

耳鼻咽喉科の病気も、現代病ともいうべきメタボリック症候群が原因で起こる病気が沢山あるので、耳鼻咽喉科の医者であろうとも根幹のメタボリック症候群を見過ごすことはできない訳です。

耳鼻咽喉科の病気で一番関連するのは、舌根沈下による睡眠時無呼吸症候群、これが一番肥満と関係します

また、食事や生活習慣と関係する病気も沢山ありますが、アレルギー性鼻炎、喘息などのアレルギー疾患、副鼻腔炎、中耳炎などの炎症疾患、さらには各種ガン。ですから、患者さんの食事や生活習慣もやはり、目を配る必要があります。

病気になった患者さんが来れば勿論治療をいたしますが、できれば、再度病気にならないようにアドバイスができれば一番いい訳です。つまり、炎症を起こさない、ガンにならない生活方法を知っていただきたい。

これが私の目標であり、究極の予防医学であるアンチエイジング医学を志した理由です。

2010年2月16日火曜日

筋肉は糖、脂肪を燃焼し続ける鍛え甲斐のある臓器

なんといっても運動が一番の若返りのサプリメント。これは、前回も申し上げた通りです。

でもなかなか、運動を日常の忙しいときに習慣化することは難しいことでもあります。遅くても40歳から運動を習慣化しないと、今の時代では飽食の時代ですから、メタボリック症候群に向かうことは間違いないです。

運動といっても、スポーツクラブに参加するとか、またスポーツジムに行くとか、あまり大袈裟に考える必要はないです。むしろ自宅で少しの時間の合間に10分だけする筋トレや近所の散歩(速歩)を30分するといった気軽にできるようにしないとなかなか習慣化はしないものです。

たしかに今日はしたくないなという日もあるでしょう、またちょっとしか時間がないときもあるでしょう。そんなときでも5分だけでもしてみてください。さぼったという罪悪感がない分だけ精神衛生上いいですし、継続しているということが自信に繋がり、さぼる気持ちも減ってきます。

身体を動かすことを身体活動といいますが、これには運動と生活活動に分類されています。生活活動とは、掃除、洗濯などの家事全般や通勤、通学などで歩行、階段の上り下りなど、荷物の上げ下ろしなど仕事中の活動もすべて含まれます。意外と運動以外でかなりエネルギーは消費していることが分かると思います。

だから、人によってはあえて運動をしなくても十分なカロリーを消費し、筋肉を使用しているかもしれません。使う筋肉のバランスが悪いと怪我や病気の原因になりますから、インナーマッスルの強化、脊椎の矯正、骨盤の安定を整えるウォーキングは、基本的に毎日やることはいいことだと思います。

抗加齢医学会の推奨するウォーキングは一日10000歩です。また信州大学スポーツ医科学分野で開発した、3分毎のインターバル速歩(速歩と普通歩を繰り返す)。平成9年から、松本市と熟年体育大学と一体になって取り組んでいる4000名規模の科学的証拠を構築しており、血圧、血糖、中性脂肪、HDLコレステロールが正常化し、また筋力や持久力も向上しております。

これを長野県に拡大、さらには全国展開することを目標にしております。素晴らしい事業だと思います。弘前市もこのような事業を積極的にやっていきたいものです。

福井県も長寿県ですが、福井県医師会では若さ度チェック(簡易なアンチエイジングドック)を各医療機関でできるように推進しております。これからは医療費の削減を念頭に置いた予防医学を地域全体で考えていかないといけない時代なんですね。

実際、私の場合朝夕の犬の散歩で4000歩、昼に弘前公園の散歩で3000歩、生活活動で3000歩、合わせて10000歩を目標にしています。

また、筋トレは毎朝7時40分の定時から20分間だけ腕立て、背筋、腹筋、スクワットを2セットずつするようにしてます。習慣化するために毎日定時にすることは効果的だと思います。

筋肉は人体の4割を占める臓器です。筋肉がブドウ糖や脂肪を最も消費します。ですから、正常な糖代謝、脂肪代謝を維持するためには、筋肉を使うしかないのです。

筋肉を使わなければ、代謝がストップしてしまいます。すると、人間の活動がストップしてしまいます。自律神経もストップ、体重と脂肪だけが増加し、死を待つだけになります。人間もカツオも生きるためには動いていなければならない宿命なんですね。

2010年2月12日金曜日

医師の推奨する若返りの最高級のサプリメントは?

若返りの最高のサプリメントはどれ?よく聞かれる質問です。

アンチエイジング医学会が推奨しているサプリメントは抗酸化物質、つまり、ビタミンC、ビタミンE、コエンザンムQ10、αリポ酸。動脈硬化予防にDHA,EPAなどのαリノレン酸、若返りのホルモンのDHEA、さらに今注目されているアスタキサンチンなどでしょう。

でも基本は、バランスのとれた食事、野菜と魚中心の食事であり、サプリメントさえ飲んでたら食事はどうでもいいというのは完全に間違いであることは今更言うまでもないことです。

たくさんの人にどんなサプリを飲んでいるかを聞いてますが、一番多いのは、老眼予防のルテインやベリーと変形性膝関節症のヒアルロン酸などかもしれません。テレビショッピングでかなり宣伝してますから、それに比例しているような気がします。

でも、実際にこのサプリをずっと飲み続けていいものか心配している人もかなりいると思います。ひとりひとりに合ったサプリを医者の立場で処方できれば一番いい訳です。

そのためにも、アンチエイジングドックで自分の老化の進行している部位を見つけて、早期に対処したいものです。病気が発症する前の未病の状態、しかも早期の状態で食い止め、進行を予防しさらには若返るための治療をいたします。

私が推奨する最高級のサプリメントは、適度な運動です。運動こそ、他のどのサプリにも優る素晴らしい効能を沢山もってます。運動をすれば、抗酸化物質SODが増加します。脂肪の善玉ホルモン、アディポネクチンが増加します。成長ホルモン様IGF-Iが増加します。糖代謝が活発になりインスリン抵抗性が減ります。良質なミトコンドリアが増えます。

しかも、このサプリは只ですから、それが一番の素晴らしいところかもしれません。

2010年2月10日水曜日

老化予防とは活性酸素とフリーラジカルとの戦いです

活性酸素とかフリーラジカルという言葉を聞いたことはあるでしょうか?最近、テレビでも盛んに耳にするようになりました。わかりやすくいうと、リンゴの皮を剥いて放置すると黄色に変色しますね。つまり、リンゴの細胞が酸化され、傷んでしまった状態になったわけです。

人間の身体も、そのように酸化されていって老化していくわけです。老化だけではなく、高血圧、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、自己免疫疾患、ガンなどの病気も活性酸素が引き金になっておこる病気です。

活性酸素やフリーラジカルは、紫外線や放射線やタバコや大気汚染などの外界から身体に入ってくるものと身体の中で作られるものとがあります。外界からのものは、自らを守るために回避すればいい訳です。

身体の中で作られる90%はミトコンドリアで発生します。ミトコンドリアといえば、特に筋肉の細胞に沢山存在しますがエネルギーを作る工場のようなものです。だから、活性酸素やフリーラジカルは工場から出る排気ガスみたいなものです。できるだけ、その排気ガスを軽減させるか、これが活性酸素から身を守る唯一の手段ということになります。では、その手段とは?①ミトコンドリアで余分なエネルギーを作らない②ミトコンドリアの性能をアップさせる③排気ガスを無毒化するシステムを強化する

①まず、余分なエネルギーは作らないとは、必要最低限のカロリーを摂取するということ、先日お話したカロリー制限と繋がるわけです。

②ミトコンドリアの性能アップとは、ミトコンドリアの量と大きさを増大させる、つまりは、筋トレして、筋肉量増やします。ミトコンドリアDNAも活性酸素のターゲットになるので、異常ミトコンドリアを増やさない。カロリー制限をすると、AMPキナーゼという酵素が働き、良質のミトコンドリアを生産してくれます。また、カロリー制限をすると転写因子のFOXOが活性化されてSODを生産してくれます。さらに長寿遺伝子にもスイッチがはいてonとなります。

③排気ガスを無毒化するとは、本来、人間の遺伝子の中には活性酸素をやっつける抗酸化酵素を作るシステムがあります。SODやカタラーゼやグルタチオンペルオキシターゼがそうです。それが活発に活動してもらうためにも、運動とカロリー制限はいいのです。また、抗酸化物質といわれているビタミンA、C、E、カロチノイド、フラボノイドなどを食事から積極的に摂取すること。

このようにできるだけ活性酸素やフリーラジカルから身体を守るために、運動、バランスのよい栄養を摂りながらのカロリー制限、ストレスケア、そして良質の睡眠を心掛けるように気をつけましょう。

ただ単に闇雲に他人から強制的に運動、カロリー制限食をしなさいといわれても、そのやる価値、根拠がわからないと積極的にできませんよね。みんなつらいことですからね。でも、身体の仕組みが徐々にわかってくれば、やる気が湧いてきませんか?自分の身体の中は、コンピューター以上に精密で、健気に毎日休まず、あなたのために頑張っているのです。感謝して恩返ししたいと思いませんか?

2010年2月8日月曜日

長寿遺伝子のスイッチをON

米国ウィスコンシン大学で行われた30%のカロリー制限をしたアカゲザルの20年間にわたる実験結果が2000年に発表されました。皆さんの中にはそのサルの違いをみられた方も多くおられるでしょう。

両者の違いは、一見してわかります。普通のエサを与えられたサルは、目に力がなく、白髪が生え、顔にはシワが刻まれ、背中は曲がり、毛にも艶がありません。一方のカロリー制限をしたサル、青年のような精悍な目力、毛並みもよく、背筋もぴんとしています。

この論文から私はアンチエイジング医学にはまったといっても過言ではありません。さらに、カロリー制限すると、長寿遺伝子なるものが活性化し、寿命が延びる、酵母菌での話ですが。これを証明したのがレオナルド・ギャランテ博士。長寿遺伝子なるものが存在すること自体驚きでした。

カルフォルニア大学のシンシア・ケニヨン博士は線虫で、daf-2遺伝子を傷つけることによって、8倍長生きすることを発見しています。彼女は人間も800歳まで生きる可能性をもっていると大胆発言をしています。SFのようなお話ですが。

これらの種類の長寿遺伝子は実は、人間でも見つかっており、しかも誰にも備わっている遺伝子だということ。ただ、その遺伝子のスイッチをonにしてるかoffにしてるかの違いだけだそうです。

それであれば、是非onにすべし。どうやればonにできるか、そこからアンチエイジングの興味は尽きなくなりました。今自分のなかの長寿遺伝子はonになっているでしょうか?それを臨床的に調べることはまだ難しいようですが、健康体に多く存在するホルモンを測定することで体内年齢は測定できます。近い将来、簡単に長寿遺伝子onかoffは調べることが可能になるでしょう。

つい最近まで、老化は仕方のないもの、治療でも治せないものというのが、一般的概念だったと思いますが、医学の進歩は著しく、今や、老化(正確には病的老化、老化危険因子)も予防できる時代に突入したといってもいいでしょう。諦めず、長寿遺伝子を鍛えましょう。

2010年2月6日土曜日

アディポネクチンの高い人は糖尿病、動脈硬化になりにくい

今日はアディポネクチンのお話。アディポネクチンとは脂肪細胞から分泌するホルモン。以前は脂肪細胞は生体内の余剰エネルギーを中性脂肪として蓄積する貯蔵庫としての働きしかないものと思っておりましたが、近年、大阪大学の先生が脂肪細胞から生理活性物質(アディポサイトカイン)が分泌することを発見したのです。

カロリーオーバーや運動不足で引き起こされた肥満の状態では、脂肪細胞が肥大化し、アディポネクチンの分泌量が低下します。逆にFFAやTNF-αの悪玉アディポサイトカインが多く分泌します。これが全身の高インスリン血症や動脈硬化を引き起こすと考えられております。

つまり、アディポネクチンが正常に分泌していれば、糖尿病も脳梗塞や心筋梗塞も発症しにくいということです。そのためにも、脂肪細胞を肥大化しないように、正しい食事と適度の運動は大切ということになるわけです。

健康に人一倍気を付けておられる方でも、糖尿病や動脈硬化になる方がいらっしゃいます。このような方は一度アディポネクチンを調べられることをお勧めします。逆にドックをしていると、肥満の人でも、アディポネクチンが高値の人もいます。このような方は確かに糖尿病や動脈硬化になっていないのです。不思議です。

2010年2月5日金曜日

アンチエイジングドックはやる気をキープしてくれる

さて、アンチエイジングドックとはどんなものか?人間ドックとどう違うか?から説明すると、人間ドックは生活習慣病やガンを早期発見、早期治療するための検査。

アンチエイジングドックは、病的老化や老化危険因子を早期発見、生活習慣の改善を促し、老化の進行および、生活習慣病やガンを予防し、さらなる健康状態を目指すための検査。ということになります。

老化判定としては、筋年齢、血管年齢、骨年齢、ホルモン年齢、神経年齢の5種類をします。老化危険因子判定として、免疫機能、代謝機能、抗酸化能、ストレス抵抗性、生活習慣の5種類を調べます。血液検査が主で、かなり正確に個人の老化度と比例するデータがでます。実年齢より老化で結果が出たらやっぱり、がっくりします。でも、諦めてはいけません。

食事療法、運動療法、ストレスケア療法をじっくり学んでいただき、実行していただければ、確実に若返ることができます。半年後にまた検査し、実年齢より若返ったデータがでたら、ほんと嬉しいものです。

実際に若返るためには、正しい運動の仕方、正しい食事の知識を知ってもらうことから始まりますし、実行するにも根気よく継続することが大切です。この継続するためのやる気、モチベーションを上げるにはドックの検査データが大変役立ちます。身体は正直ですから、頑張った分データに反映します。

たとえば、IGF-Iという検査、成長ホルモンの一種ですが、若い人ほど数値が高く、運動不足、睡眠不足、炭水化物とアルコール過多摂取、肥満で数値が下がります。大まかに言うと免疫力を反映します。これは運動をして筋肉がついてくれば上昇します。また、長寿になる人の特徴として、DHEA値が高い、インスリン値が低いということがあります。この数値を良好にするための知識もしっかり、学んでいただければ健康長寿も可能です。

まずは、ドックを受けて自分の体内年齢を素直に認める。そして、弱点があれば、生活習慣を改善し、若返るベクトルに舵を切る。人間は成長モードでいるか衰えモードにいるかの二者択一でしかないのです。
あなたは、ボケて寝たきりになりたいですか?それとも80歳になっても青春を謳歌していたいですか?

2010年2月3日水曜日

我が家のアンチエイジング食

今日の朝食です。まずは野菜たっぷりサラダ、ブロッコリー、きゅうり、ミニトマト、レタス、ミックスビィンズ(ひよこ豆、青色エンドウ豆、赤色インゲン豆)。ミックスビィンズはキューピーから出ているもので、50gの袋に入っていて使いやすいです。大皿に野菜を載せてもらいますが、一日350gが目標です。野菜と豆類は抗酸化力がありますから、ガン細胞を攻撃してくれます。若くて元気な人でも毎日少なくとも3000個のガン細胞が体内に発生しているといわれます。それを攻撃してくれるのが白血球のなかのNK細胞、この活性を上げるためにも免疫力をつけなければ。

サラダドレッシングは、エゴマ油、ワインビネガー、岩塩を振りかけて使います。エゴマはシソ科の植物で日本で油といえばエゴマ油というほど昔からなじみ深かった油です。今ではサラダ油が主流ですが、断然エゴマ油のほうが、不飽和脂肪酸としての質は良です。エゴマ油に多く含むαリノレン酸は炎症を引き起こすエイコサノイドを作りません。またDHAも作ってくれるので動脈硬化や脳痴呆にも効果があります。

サーモンフレークに亜麻の実ふりかけ、亜麻の実もαリノレン酸です。鮭の赤い色素はアスタキサンチン、ビタミンCの5000倍の抗酸化力があります。

ご飯は90g、今日は十六穀米です。秤で正確に測ります。副菜、主菜が終わってから最後に主食のご飯を食べます。今日のご飯の友は韓国のり。

2010年2月2日火曜日

エゴマ油、アマニ油、魚油は良い油

かつては、油はカロリーが高く太るからと敵対視されていたと思いますが、最近の研究で、そんなに悪者でもないことがわかってきました。脂肪は1g=9kcal、炭水化物1g=4kcalで2倍以上の獲得エネルギーを持っていますので、もちろん摂りすぎはよくありません。脂肪は身体のなかの大切なホルモンや細胞の膜の原料になりますから、必須な栄養素なのです。でも、油でも身体に良い油と悪い油があるので、それをしっかり見分けることが大切になります。まず、悪い油の代表は動物性脂肪、トランス脂肪酸、ショートニング、マーガリン。良い油の代表が、オメガ3脂肪酸の分類にはいる魚油、αリノレン酸。一昔にリノール酸神話がありましたが、崩壊しました。摂りすぎは心臓病になることがわかりました。今でもリノール酸を沢山含む油は主流で売られておりますので要注意です。αリノレン酸が多く含む油は、エゴマ油とアマニ油。少し割高だけど使う価値ありです。特にアレルギー性疾患の人や自己免疫疾患の人は気を付けて摂取されることです。オリーブオイルも良い油になります。魚油に含まれるDHA、EPAは特に血管の硬化を予防、痴呆を予防してくれる大切な油です。魚は週4回くらいは食べたいものです。でもマグロやブリなど大型魚は水銀の蓄積量も多いので、メザシやイワシなどの小さな魚を食べたほうが良いですね。

2010年2月1日月曜日

狩人の身体を受け継いだ以上動かすのが宿命

ニューヨークのヘンリー・ロッジ博士の本、「若返る人」のなかにこんな言葉があります。1万年前、我々の先祖は獲物を探すためにサバンナを1日20~40kmも移動しては狩猟をしていました。現代の我々の身体のなかには、このサバンナで生き抜くための遺伝子が脈々と受け継がれてきているのです。ですから、狩人の身体を受け継いだ以上、現代の我々も身体を動かすことは宿命なのです。現代人は、スーパーマーケットに迷い込んだトラのようなもの。チョコレートや牛乳やケーキを食べあさる、健康的な訳がない。やっぱり、トラはアフリカの荒野で走って獲物を獲って生きなければ健康は得られないと。また、藤田紘一郎の寄生虫博士の「不老の免疫学」という本にも面白いことが書いてありました。人類の家畜化現象、つまり、生物としても生きる力を奪われ、現代人は小さな家畜小屋を与えられ、ファーストフードやコンビニ食といった便利で安価な餌で飼いならされた家畜になってしまったと。両方とも言っていることは一緒で、現代の人間も荒野を走り回った頃の遺伝子を持っている以上、せめて1時間くらいは歩いて筋肉を使わないと、正常な身体の代謝は成り立ちませんよ、ということです。家畜化しないように、荒野を走り回りましょうね!